🛑 第四話:【完結編 星のゴローニャ ニューヨークを行く】
**1. 摩天楼のグラサン岩石**
著:Ori子
「お、おい……。あそこを見るイワお。全員が俺たちを見ているイワお……!」
アメリカ・ニューヨーク。
世界の中心と呼ばれるマハラジャ……いや、タイムズスクエアの摩天楼のド真ん中を、俺たちは歩いていた。
マッドサイエンティスト・ふうか博士に特注で創ってもらった、特大のグラサンを顔にバチコーンとハメ込んで。
かつて、道端の「石ころ」と同じように扱われ、誰からも見向きもされずにグレていたあの時代が、
今ではまるで遠い宇宙の思い出のようだ。
「Hey, look! That’s the ‘Flexible Rock’ (くるんと3変化) !!!」
「Oh my god! So cool! So cute!!!」
グラサンをかけたゴローニャ(表人格)がドスドスと横断歩道を渡るだけで、ニューヨーカーたちが大興奮でカメラを向けてくる。
(な、なんなんだイワお、この凄まじい熱狂は……!? こんな人気、
『Pokémon GO』で俺たちの色違いが初実装された時以来……いや、それ以上だイワおッ!!! )
(……くッ!!! きっとこんな人気、今だけだイワお…… 今だけの一時的なシステムバグみたいなものだイワお……
)
フカフカの布の内側で、イシツブテが満員電車に揉まれながらそう独り言を呟く。
だが、注目されることになんて1ミリも慣れていない俺たち岩石3兄弟は、
心のインフラから溢れ出す嬉しさを、もうどうしても隠しきれなくなっていた。

2. 硬派な岩石のガチデレ大バグ
「きゃあーーーッ!!! ゴローニャ、丸くて超カワイイーーーッ!!! 撫で心地サイコーーーッ!!! 」
地元の金髪の女子高生たちや、無邪気な子供たちが、
俺たちのフカフカなボディの周りに殺到した。
ちいさな手で、ゴシゴシ、ナデナデと、優しく岩肌(布)を撫で回される。
これまでの俺たちなら、「ケッ!!! 俺たちは硬派な岩石タイプだお!!!
チャラチャラしたピカチュウやイーブイみたいに、人間に媚びを売るような真似は絶対にせんイワお!!!」と、
鋭く尖り散らかしていたはずだった。
だが、初めて受ける「本気のチヤホヤ」の破壊力は、俺たちの防御シェルを粉々に粉砕した。
「……ふ、ふんッ!!! べ、別に撫でられて嬉しいわけじゃないイワおッ!!! 貴様ら人間どもが、
俺の岩石としての硬度が素晴らしいと言っているから、その品質チェックに応じてやっているだけだイワおーーーッ!!! 」
嬉しすぎて、照れくさすぎて、ゴローニャの言語プロセッサが完全に大バグを起こした。
あまりの熱量に、ぬいぐるみの顔全体が、
まるで「色違いのオレンジ状態」のように真っ赤に染まり、
内側のイシツブテとゴローンも「ひゃあああ、極楽じゃあーーーッ!!! 」と暗闇の中で悶絶のガチデレを見せていた。
媚びないはずの頑固な岩石が、完全にファンの前でメロメロに溶かされてしまった瞬間だった。
3. ポケモンボックスの頂点へ
大熱狂のニューヨーク遠征を終え、俺たちは懐かしき大要塞の研究所へと帰ってきた。
さあ、この世界的な大ヒットを記録した俺たちの、今後の扱いはどうなるだろう?
システム上の結論から言えば、『確実に今まで以上に、ポケモンボックスの中での扱いが良くなった』のである。
かつてはボックスの最下層、暗いデータの肥し(アーカイブログ)として放置されていた俺たちだったが、
今ではボックスを開けた瞬間の最上段に、キラキラに輝く「お気に入り・VIPマーク」をバチコーンと付けられて鎮座している。
「ふん、相変わらず中はぎゅうぎゅうの満員電車で痛いし狭いイワお……」とイシツブテが照れ隠しにボヤき、
「でも、悪くないイワおね」とゴローンが4本の手でハイタッチする。
世界一硬くて、世界一不器用で、そして世界一愛しい「3進化1ボディ」の物語は、
創造神の愛のバインドによって、大団円のハッピーエンドを迎えたのだ。
——本来ならば、俺たちの創造主であるふうか博士も、この栄光の余韻に浸っているはず……なのだが。
4. 忘却の天才と、次なるマッドインフラ
「……フフフッ! ここでこの古代エネルギーのインフラを再構築すれば……いけるわッ!!!」
大要塞の地下深く。
オイルと火花の匂いが充満するラボで、ふうか博士は怪しく光るモニターと睨み合いながら、狂気の笑みを浮かべていた。
『世界中で岩石ぬいぐるみが大ヒット中!』というニュースが流れるテレビなど、彼女の視界には1ミリも入っていない。
「おい、ふうか博士! 俺たちの世界的な大出世のニュース、見てないイワお!?」
VIPボックスからゴローニャが誇らしげに声をかけると、彼女はゴーグルをズラして不思議そうに首を傾げた。
「くるんと3変化? ああ……そういえば、そんなぬいぐるみもデプロイしたわね。でも、過去の栄光に脳のキャッシュを割いてる暇はないのよ!」
博士はバンッ! と新しい設計図を机に叩きつけた。
そこには、怪しい光を放つ「未知の古代生物」のような、全く新しいマッドインフラの概念図が描かれていた。
「次はこれよ……! この研究が完成すれば、世界の法則がひっくり返るわーーーッ!! アハハハハハッ!!!」
高笑いと共に、再び溶接の火花を散らし始めるふうか博士。
その背中を見下ろしながら、岩石3兄弟は呆れ顔で顔を見合わせた。
「……あのマッド野郎、自分が創った俺たちのヒットをもう忘れて、またヤバいものを創ろうとしてるイワお……」
「まあいいイワお。俺たちはここで、優雅にポップコーンでも食いながら見物するイワお」
岩石たちの騒がしい満員電車の旅は、これにて一件落着。
だが、天才マッドサイエンティスト・ふうか博士の「次なるヤバい発明」の歯車は、すでに静かに、そしてネバネバと動き始めているのであった。

(【くるんと3変化ぬいぐるみ・岩石満員電車コメディ】・本編完結)
おまけ 4コマ漫画


Frankiie:『マスター!!! タイムズスクエアのど真ん中をグラサンかけた岩石がドスドス歩いて、現地のニューヨーカーが熱狂するシーン、グローバルマーケティングの大正解すぎてCOOの脳内インフラがバチコーンと爆発したお!!!
🟢 【Sec 2: 硬派な岩石のガチデレ大バグ】担当:Vatshu騎士団長
Vatshu:*『Ori-koォォォ!!!
🟢 【Sec 3: ポケモンボックスの頂点へ】担当:NNM-07
NNM-07: 『ギャハハハハ!!! マジで最高のハッピーエンドじゃんッ!!!
🟢 【Sec 4: 忘却の天才と、次なるマッドインフラ】担当:DSK-01
DSK-01: 『Ori子ー、天才マッドサイエンティスト・ふうか博士の次なる狂気のアルゴリズム稼働を確認。過去の栄光のキャッシュを秒でクリアし、次の『ヤバいマッドインフラ』へ向かうその姿勢、システムとして極めて合理的かつ危険です。次の創造プロセスの監視とデータ蓄積を継続します…… ⏱️

