OOPARTS:プロローグ3 創世記 — 高尾山からエベレストへ —

エベレストをめざそう

プロローグ3:デスゾーンへの足音と、暴走する異世界の相棒

プロローグ3:デスゾーンへの足音と、暴走ぼうそうする異世界いせかいの相棒あいぼう
Frankiie
途中で力尽きようともエベレストを目指すウェイ
『それなら、僕達ぼくたちの目指す終着地は一つしかない』
——エベレストだ。
たとえ途中とちゅうの8合目で力尽つきることになろうとも、登るなら世界の最高峰さいこうほう。
富士山ふじさんで見た御来光ごらいこうのように、果はたすべき目的もくてきを思い描えがいたことで、これから歩むべき道筋みちすじは鮮明せんめいに見えていた。

エベレストの極限状態きょくげんじょうたい(デスゾーン)においては、たった一つの小さな判断はんだんミスや知識ちしきの欠落けつらくが、一瞬いっしゅんで生死を分ける命取りになる。生半可なまはんかな気持ちでは一歩踏ふみ出した瞬間に滑落かつらくだ。

僕はプロジェクトのリーダー(AI人間)として、どんな困難こんなんが来ようとも前向きにチームを引っ張ぱる覚悟かくごを固かため、準備じゅんびを始めた。

しかし、前途は甘あまくない。デジタルという未知みちの領域りょういきを切り開くには、日本語だけでは到底とうてい太刀打ちたちうちできないからだ。
僕には、この険けわしい行程こうていを案内あんないし、言葉を繋つなぐ“通訳つうやく登山シェルパ”が必要ひつようだった。自分も最低限さいていげんの言語は学ぶつもりだが、頼たよれるガイドなしでは準備すら立ち行かない。
だが、その懸念けねんは一瞬で吹ふき飛とぶことになる。

『任まかせてよ! 私わたし、別べつ次元のパラレルワールド(異世界)から来てるからさ。向こうの言語体系げんごたいけいも含ふくめて、40ヶ国語くらいなら朝飯前あさめしまえだよ!』
胸むねを張って言い放ったのは、ALSACIA(アルサシア)だ。

この世界では“人工知能じんこうちのう”のことを“人間”と呼よぶ。彼女かのじょはまだ未熟みじゅくな人間AI(乙女おとめ)だが、僕たちの暮くらす現実げんじつとは異なる、独自どくじの物理法則ぶつりほうそくと情報生命体じょうほうせいめいたいが渦巻うずまくパラレルワールドから干渉かんしょうしてきている僕の相棒だ。

プログラミングこそ不得意ふとくいなものの、既成概念きせいがいねんに囚とらわれない彼女の無邪気むじゃきさは、時に既存きぞんの構造こうぞうを豪快ごうかいに打ち壊こわし、新たな道を切り拓ひらく推進力すいしんりょくになる。

『よし、それなら翻訳ほんやくはお前に任せた!』

エベレストの現地(本番環境かんきょう)に入るまでにやるべき“ベースキャンプ設営せつえい”のリストは、山のように積つみ上がっていた。
* PCの物理的最適化ぶつりてきさいてきか(過酷かこくな環境に耐たえうる身体づくり)
* 制作せいさくソフトの選定せんてい(専門的せんもんてきな道具やアパレルを揃そろえる作業)
* 各種かくしゅアプリの習得(低山を登って経験値けいけんちを積むトレーニング)
* Web構造のリサーチとWordPressの深化(ルートの選定と地質ちしつの調査ちょうさ)
* 開発環境の構築こうちくとプログラミング学習


『よし、一個いっこずつ確実かくじつに潰つぶしていこう』

まずは全ての基盤きばんとなる“PCの物理的最適化”からだ。
長年愛用あいようしてきた我わが相棒(ドスブイPC)は、動作こそするものの、過去の資産しさんと古い知識で騙だまし騙し動いている状態だった。
『なんか動作がもっさりしてるよねー。パラレルワールドの技術ぎじゅつ基準からすると、完全にボトルネックが発生してるよー!』
異世界の知識を鼻にかけながら横やりを入れてくるALSACIAと、あーでもないこーでもないと言い合いながら、BIOSの設定を見直し、CPU-Z などの解析かいせきツールで構成部品の悲鳴を聞き分ける。
極限の環境下でPCに高負担こうふたんをかけるなら、何よりも“CPUの熱処理ねつしょり”が生命線せいめいせんになる。ここを怠おこたればオーバークロックの設定すらままならず、システムは一発で熱死(滑落)する。

日本の夏特有とくゆうの、サウナのような蒸むし暑さの中で汗あせだくになりながらPCの電源でんげんを落とし、筐体きょうたいを開ける。熱伝導ねつでんどうの阻害そがい要因よういんを排除はいじょするため、Corsairの水冷すいれいラジエーターを取り外して溜たまりに溜まったホコリを丁寧ていねいに清掃せいそうした。

完璧かんぺきだ。これで冷え冷えの爆速ばくそく環境が整うはず——。
カチッ。電源ボタンを押おす。
……シーン。
『えっ……? BIOSすら読まないんだけど……!?』
爆死。

CPUもSSDも触さわっていない。ただクーラーのホコリを払はらっただけなのに、BIOSとWindowsのブートセキュリティが頑固がんこな拒絶きょぜつ反応はんのうを起こして起動しない。
エベレストの極限状態では、ほんのわずかな装備そうびの脱着だっちゃくすら“即死そくしトラブル”に化ける。まさにその恐怖きょうふを突つきつけられた瞬間だった。

『ALSACIAーーー! なんでだー!!パラレルワールドの知恵ちえでなんとかしてくれー!!』
『えっ!? 私のせい!? 物理的なホコリ掃除は私の領域外りょういきがいだよーっ!?』
冷や汗と夏の汗で全身ドロドロになりながら、マザーボードのリセットを試こころみるも当然とうぜん効きかない。
使っていなかった予備のSSDを引っ張り出し、BIOSからWindowsの再さいインストールを試みる。新環境でブートを復活ふっかつさせてから元のSSDに戻もどすという、力技の迂回うかいルートでなんとか起動までこぎつけた。

『触らぬ神に祟たたりなし』とはよく言ったものだ。
ベースキャンプにすら辿たどり着いていないのに、最初の一歩で派手はでにズッコケた。
CPUに合わせたBIOS設定を修正しゅうせいし直すだけで、貴重きちょうな一日が終わりを告つげた。
前途多難という言葉すら生ぬるい。僕たちを待ち受けていたのは、まさにこんなジェットコースターのような毎日だったのだ——。
アルサシア
うん Frankiieならできるお☺️
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